「グラミン日本」が事業開始 〜 貧困に苦しむ人に少額で無担保融資、助け合うビジネスモデル
バングラデッシュのグラミン銀行が、9月13日から一般社団法人「グラミン日本」として日本での事業を開始しました。映像配信のプラウト経済を受講した者にとっては感無量の心地です。その頃はよもや日本国民の6人に1人が貧困ライン以下の生活になるとは想像すらしていませんでした。
グラミン銀行は、借り手の97%が女性であることが特徴で、融資を受けたメンバー同士が励ましあって返済することで非常に高い返済率を実現し、顧客の半数以上が絶対的貧困から脱出したとも言われます。その功績から、創業者のムハマド・ユヌス氏はグラミン銀行共々、2006年にノーベル平和賞を受賞しました。
グラミン日本は、7つのユニークな原則に基づいた働き方によって、一部の者が利益を貪るような社会ではなく、貧困のない社会を目指そうとします。7つの原則の中には「楽しみながら仕事をすること」という多くの日本人には夢のような項目もあります。また働き方改革のお手本にして欲しい「スタッフは標準以上の労働条件・給料を得ること」という頼もしい項目もあります。「環境に配慮する」という地球にも大切な項目も光っています。利益のためには環境破壊など当たり前という野蛮な世界観はありません。
しかし一方、識者の中には、日本ならではの難しさを指摘する声もあります。「5人1組の互助グループ」が活動単位ですが、コミュニティの強いバングラデシュと異なり、現代の日本で支え合い、同時に失敗の共有が可能な仲間が5人集まるというのは難易度が高いのではとも懸念されています。
当面「融資対象に制限はないが、シングルマザーやワーキングプアの方々への支援から始める」そうです。シングルマザーへの支援は、子供達への貧困の連鎖や固定化を断ち切ることにも有効です。
グラミン日本自体、まずは5年後の黒字化を目指すとのこと。社会全体に貢献する会社、大きく育って欲しいです。
注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
働く意欲と能力があるにもかかわらず、生活が苦しいシングルマザーや失業者などが貸し出しの対象。5人一組の互助グループをつくり、そのうちの2人にまず最高20万円ずつ貸し出す。2人の返済状況を見ながら、残り3人の融資を判断する。
グラミン日本が目指す社会 (中略)
・貧困のない、誰もが活き活きと生きられる社会
・貧困・生活困窮に陥った時、そこから脱却する助けがセーフティネット/
ソフトインフラとして整備されている社会
・生業的な起業(プチ起業/小商い)が普通にできる社会
・Job Seeker(職を探す人)よりJob Creator(職を創り出す人)が活躍できる社会
・地域・コミュニティがお互いに助け合い、共感のある社会
・ユヌス・ソーシャルビジネス7原則(*)が実践される社会
・会社が、株主だけでなく経営者、社員、取引先、顧客、地域・コミュニティなど
全ステークホルダーに貢献する社会
(*)ユヌス・ソーシャルビジネス7原則
1. 利益の最大化ではなく、社会問題の解決こそが目的であること
2. 財務的に持続可能であること
3. 投資家は投資額を回収するが、それ以上の配当は分配されないこと
4. 投資額以上の利益はソーシャルビジネスの拡大や改善のために使うこと
5. 環境へ配慮すること
6. スタッフは標準以上の労働条件・給料を得ること
7. 楽しみながら仕事をすること
(中略)
ビジネスモデルについて
グラミン日本においても、(中略)借り手が5人一組となって互助グループを作り、起業や就労の準備のための融資を受けます。グラミン日本は、働く意欲はあっても今はお金がない方々に融資と仕事の機会・就労支援をワンセットで提供し、融資の後にも毎週のセンターミーティングでグラミン日本のスタッフがフォローアップを行います。
起業した方には経営のアドバイスを、また、就労を目指す方には就労支援を行うなど、顔の見えるコミュニケーションを行います。融資を受けたメンバー間は励まし合いながらローンを返済し自立を目指します。
(以下略)