希野正幸のインフォブログ

興味を持った情報を選んで発信しています。

司法長官バーから議会へ宛てられたミュラー報告書に関する報告書簡

司法長官バーから議会へ宛てられたミュラー報告書に関する報告書簡

 

 

元記事はこちら

https://www.foxnews.com/politics/read-the-mueller-report-findings-barrs-letter-to-congress

 

当該書簡原本はこちら

https://judiciary.house.gov/sites/democrats.judiciary.house.gov/files/documents/AG%20March%2024%202019%20Letter%20to%20House%20and%20Senate%20Judiciary%20Committees.pdf

 

抄訳はじめ

 

 金曜日、特別検察官が私に“特別検察官による告示と報告を規定した法律の要求に従って、彼が結論に至った”起訴か起訴断念かを明らかにした"機密報告書”を提出した。この報告書は”2016年大統領選挙におけるロシアの妨害の捜査に関する報告書”と題されたものである。この内容に関する私の再検討は現在進行中ではあるが、私は、この報告書に関して、特別検察官が至った主要な結論と彼の捜査結果について概要をまとめて記述することが公的に求められていると信じるものである。

 

この報告書は、特別検察官と彼のスタッフが、ドナルド・J・トランプの大統領選挙事務所のメンバーとこの事務所と関わりのある他の人物が、2016年大統領選挙における妨害工作においてロシア政府と共謀しているという申し立てについて徹底的に捜査した結果を説明したものである。あるいは、この捜査に関係して妨害がなかったどうかを捜査した結果を説明したものである。

 

中略

 

 特別検察官は、彼の捜査に関連して多くの個人と組織に対して多くの起訴を実施し、多くの有罪判決を勝ち取った。これら全ては公的に公開されている。彼の捜査期間中、特別検察官はまた、さらなる活動のために他の部署に対するいくつかの案件について言及した。この報告書はいかなる追加の起訴を求めていない。また、公になっていないいかなる非公開起訴も行っていないとしている。以下に私は、特別検察官の報告書における主要な結論について概要を記述することとする。

 

2016年大統領選挙におけるロシアの妨害

 特別検察官の報告書は二つの部分に分かれる。最初の部分においては、2016年大統領選挙におけるロシアの妨害に関する特別検察官の捜査結果について記述している。この報告書は、大統領選挙に影響を及ぼそうとしたロシアの試みについて概説している。また、この試みに絡んでロシア政府と関わりのある個人が犯した文書犯罪について概説している。この報告書はさらに、特別検察官が捜査に当たって最初に考慮したことが、トランプの選挙事務所と関わりのある個人を含む米国人が、大統領選挙に影響を及ぼすためにロシアの陰謀に関わっていたかどうか、この人物が連邦の規定する犯罪に関わっていたどうかについて説明している。特別検察官捜査においては、トランプの選挙事務所およびこれに関わるいずれの人間においても、2016年大統領選挙に影響を及ぼす試みに関するロシアとの共謀・協力関係が見出されなかった。

 

中略

 

 特別検察官は捜査において、2016年選挙において二つの主要なロシアの試みがあったと断定した。第一の試みはロシアの団体である、インターネットリサーチエージェンシー(IRA)(訳注1)によって試みられたものである。この試みは、米国において社会的な不和の種をまき、最終的に選挙の妨害を行うために情報攪乱やソシアルメディアの操作を行ったものである。先に記述した通り、いかなる米国民もトランプ選挙事務所の職員もIRAのこの試みへの関与を見出せなかった。しかしながら、特別検察官はこれらの活動に関わった多くのロシア人およびロシアの団体の犯罪を告発した。

 二番目のものは、選挙に影響を及ぼすために情報を集め拡散するために行われたコンピューターハッキングをロシア政府が行ったことに関するものである。特別検察官は、ロシア政府の活動家が成功裡にコンピューターに侵入し、クリントン選挙事務所と民主党組織に近い個人からeメール情報を得て、これらを、ウィキリークスを含む様々な媒体と通じて公に拡散したと報告している。

 これらの活動に基づき、特別検察官は選挙に影響を及ぼすために米国内のコンピューターに侵入した陰謀に関して、多くのロシア軍人を告発した。しかし、先に記述したように、特別検察官はトランプの選挙事務所あるいはこれと関わりのあるいかなる人物にもこの試みに関してロシア政府の共謀・共同関係を見出せなかった。しかしながら、トランプの選挙事務所を支援しようとしたロシアに近い人物の複数のオファーがあった。

 

司法妨害

 報告書の第二部は大統領の多くの行いに関して言及している。

 

中略

 

 特別検察官は、大統領の行いや意図が司法妨害と見なせるかどうかの法的判断が難しいという見解を示しており、この報告書は大統領が罪を犯したとは結論付けなかった。

 司法副長官ロッド・ロゼンスタインならびに私は、特別検察官が捜査期間中にもたらした証拠は、大統領は司法妨害を犯したとみなすに足るものではないとの結論に至った。

 我々の決定は、現大統領の告発に関して憲法上の考慮を行うことなくなされたものである。

 

中略

 

本省の再検討の状況

 司法長官に対する特別検察官のこの報告書は”機密報告書“である。

 

中略

 

 しかしながら、この報告書が公の興味を引いていることを私は理解している。このことから、私の目標と意図するところは、適用される法律、規則、司法省の政策と矛盾しない範囲内でできうる限り多くの部分の特別検察官報告書を公開することである。

 

中略

 

司法長官ウィリアム・P・バー

 

抄訳終わり 

 

これより私見です。

 

 まず、明らかにされたことは、この捜査において、トランプ大統領と大統領に近い人物とロシアとの間に何ら共謀関係が見出せなかったと報告していることです。

 

 トランプ大統領側の人間が何人も起訴されていますが、いずれも、議会やミュラーに対して偽証したこと、あるいは、外国政府のロビー活動を無登録で行ったことで起訴されており、ロシア疑惑とは何ら関係ないことで起訴が行われています。

 

 このことは、この捜査が全くの魔女狩りであり、ただ、トランプ大統領に嫌がらせするためだけに、何かの捜査が行われないよう時間稼ぎのために行われたに過ぎないことが推測できます。

 

 また、特に気になるポイントを以下に書き出してみます。

 

*報告書の題名が”2016年大統領選挙におけるロシアの妨害の捜査に関する報告書“であること

 

*この報告書が、ドナルド・J・トランプの大統領選挙事務所のメンバーとこの事務所と関わりのある他の人物が、2016年大統領選挙における妨害工作においてロシア政府と共謀しているという申し立てについて徹底的に捜査した結果を説明したものであること

 

*特別検察官が捜査に当たって最初に考慮したことが、トランプの選挙事務所と関わりのある個人を含む米国人が、大統領選挙に影響を及ぼすためにロシアの陰謀に関わっていたかどうか、この人物が連邦の規定する犯罪に関わっていたどうかであったこと 

 

 ここで、民主党の動きを見てみます。

 

 民主党ミュラーの捜査終了前からミュラーの報告書の全面開示を求めています。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000150620.html 

 

 まず、民主党側の動きから言えることは、このミュラー報告書には、もう一人の大統領候補者であったヒラリーにとって都合の悪いことは一切書かれていないだろうということです。

 このことが書いていないからこそ、民主党は報告書の全面開示要求が可能なのです。ヒラリーに不都合なことが書かれていたならば、トランプ大統領の捜査終結宣言に何ら反対しないはずです。

 

 しかしながら、民主党は、更なる追加捜査を自分たちでやると早速アナウンスしています。

https://jp.reuters.com/article/usa-trump-russia-congress-idJPKCN1GQ0LQ 

 

 この民主党の動きを見て、先に抜き出してきた部分を見てみると、民主党側の隠された意図、彼らの弱点が見えてきます。

 

 この捜査は、トランプ陣営がロシアと共謀しているとの申し立てに基づき行われたもので、最初はそのような観点で捜査が行われたことをこの抜き書きの部分は示しています。

 

 そして、報告書の題名からは“トランプとロシアとの共謀関係”という部分が抜け落ちて、この報告書が、2016年大統領選挙全体に対するロシアの妨害に関する捜査を行った結果を説明したものだということにいつの間にかすり替わっています。

 

 つまり、いかにもこの捜査が法的に公平に、トランプサイドもヒラリーサイドも捜査を行ったものですよと巧妙にアピールしているのです。

 

 ここから、民主党側はヒラリーとロシアとの関係を探られたらどうしようという不安が見えてきます。

 

 米国は米国で大統領選挙に干渉したロシア人を告発していますし、ロシアはロシアでヒラリーや民主党のメールを盗み出してウィキリークスに渡しています。

 

 当然、マスコミはウィキリークスに掲載されているヒラリーのメールの内容を詳細に調べたはずですが、大した話は出てきていません。

 

 ロシア側は意図的に、どうでもよいメールだけ、ロシアにとって不都合ではないメールだけを選んでウィキリークスにリークしたと見てよいでしょう。

 

 ヒラリー側もロシア側もウラニウムワンを舞台にしたロスアトムの暗躍と、これに関連したクリントン財団の贈収賄の事実が公になってはまずいので、お互い牽制し合っていると見て良いでしょう。 

 

 この民主党側の弱点をつけるのが司法長官バーです。彼が本当にトランプの味方で愛国者ならば、ミュラー報告書をできうる限り公表した上で、ヒラリー側のロシアとの共謀関係が捜査されていない法的公平性の欠如という問題点を指摘し、司法省として法的公平性を担保するという名目でヒラリーとロシアとの共謀関係を捜査するプロジェクトを実行に移せばよいでしょう。

 

 しかし、これはロシア側の執拗な妨害に遭うはずであり、あまり成功する確率は高くないと考えられます。

 

 ただし、プーチン大統領が非常に高度な戦略家で、ロスアトムに関係するロシアカバールをこの件で罠にはめようとしているのなら話は違ってきます。

 

 ですから、この作戦はやってみる価値はあるでしょう。  

 

 一番有効なのが、ウクライナとヒラリーの共謀関係を攻撃する手法です。

 

 スティール文書に端を発したトランプーロシア共謀疑惑は、ロシアの敵国ウクライナとトランプの敵ヒラリーの思惑が一致し、両者の敵の追い落としを狙ってタッグを組んだとみると、このプロットは非常に合理的に見えます。

 

 実際にこういう報道がなされています。

https://ameblo.jp/former-spiritual-light/entry-12438693496.html

 

 このあたりの報道をネタに世論を喚起し、この世論を背景にトランプさんなりバーがウクライナ-ヒラリー共謀疑惑を捜査する特別検察官を任命すればよいのではないでしょうか?

 

 これならロシアの全面協力が得られるでしょう。

 

 ウクライナからクリントン財団には賄賂がわたっているでしょうから、ヒラリーの起訴に持って行くには格好のネタだと思います。

 

 最近、オバマ元大統領の元上級顧問であったグレッグ・クレイグがミュラーの捜査の過程で違法にウクライナのためにロビー活動を行っていた疑惑が浮上し、起訴される見込みであることは、これから起こるであろうことを予兆させるものです。

https://pjmedia.com/trending/clinton-obama-attorney-greg-craig-snagged-in-mueller-probe/