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2019/01/09(水)国家非常事態といって何でもできるわけではない大統領

トランプさんは壁建設問題に絡んで、いよいよ非常事態宣言を出すことを検討しているようです。

【トランプが壁建設のために非常事態を宣言したら起こること】 (ドナルドトランプニュース)



そこで最近話題の非常事態宣言とは一体どういう物なのか、少し調べてみました。

ちなみに日本語では「緊急事態」と「非常事態」と2つの訳がありますが、英語では同じemergencyですので、ここでは「非常事態」に統一します。

アメリカの非常事態宣言の歴史は南北戦争時のリンカーン大統領まで遡ります。近年では911後のブッシュ大統領の非常事態宣言が印象に残っていますが、これはついこの間、先月末に更新されて今現在も有効です。

更新というのは非常事態宣言の濫用を防ぐために、1年たったら更新しないと無効になる規定が設けられているからです。

この規定ができた背景には、1970年にニクソン大統領がカンボジアに派兵しようとしたときに、当時の国務長官が1779年の非常事態宣言がまだ有効なことを根拠に予算をねん出しようとしたことに対して批判が起きたことがあったようです。

ブッシュの非常事態宣言についても、捕虜の人権や拷問の容認について強い批判があったのは記憶に新しいですよね。

非常事態宣言そのものは過去、結構頻繁に出されていますが、そのほとんどは戦争がらみです。そして、非常事態宣言の歴史は、いかに大統領の強大な権限を制御するかということの繰り返しだったようです。

過去、何回か非常事態宣言に絡んで出された大統領令が覆されている実績もあります。

南北戦争時、反逆罪による死刑宣告がリンカーンの死後、終身刑減刑されたこと、そして、朝鮮戦争時のトルーマン大統領による工場接収が後になって取り消されたこと、また最近では、ブッシュが行ったテロ容疑者に対する人権無視が違憲とされたこと等があります。

つまり簡単に言うと、トランプ大統領が非常事態宣言をして、大統領令を根拠に大量逮捕して軍事裁判でカバールを有罪にしたとしても、後から大統領の職権の濫用があると反訴されたら、逆転無罪になる可能性も否定できないということです。

実際にリンカーンが出した死刑判決は軍事裁判でしたし、911で死刑判決を受けた容疑者も、事件から20年近くたった今でも死刑は執行されず、判決を不服として争っているという事実があります。

つまり、時代劇のように「ははーっ、恐れ入りました」と単純に一件落着とはならず、せっかく掃除機で吸い込んだゴキブリが、ちゃんと穴をふさがなかったために、後からゾロゾロ復活してくるようなことにもなりかねません。

ではそうならないためには何が重要か、ということになりますが、もちろん上院での過半数や、最高裁の支持を取り付けることも必要ですが、一番重要なのは国民の支持を得ることです。

仮に非常事態宣言を出したとしても、肝心の国民の意見を一方で代表する主流メディアは、いまだに反トランプのフェイクニュースを垂れ流しているという現実もあります。

そう考えると、壁を建設する予算をねん出するという名目で発した非常事態宣言で、壁とは無関係の小児性愛者を大量逮捕するというのはいかにも無理がありそうです。

たとえば今焦点となっている壁がらみでいうならば、不法移民の子供が親から引き離された結果、人身売買で小児性愛の被害者となっていて、それにオバマやヒラリーが加担していたという証拠を示して国民の理解が得られるかどうかということになります。

しかし、Qやインテルを見ている一部の人たち以外の、何も知らない国民から見るとちょっと唐突な感が否めません。世論をそういう方向に一気に向けるのはなかなか難しいことです。

 

そう考えてみるとひょっとしたら、この一連の非常事態宣言騒ぎ自体が、陽動作戦の可能性も考えられます。

 

そんな状況の中で、トランプさんは明日の演説でいったいどんなことを話すのでしょうか。要注目です。

 

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